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エリック&アンドリュー「最強の記憶術」

はじめに

出口汪と著名人の対談・真剣勝負、第二弾は「無料学習サイト smart.fm」の創設者であるエリック・ヤング氏とアンドリュー・スミス・ルイス氏との対話です。
第一部・セレゴ・ジャパンの強み、第二部・セレゴ・ジャパン誕生秘話、第三部・smart.fmの未来像、の全三部構成で公開していきたいと思います。

この対談は2010年6月30日に行われたものです。

第一部 セレゴ・ジャパンの強み

セレゴのアダプティブ・ラーニング・ソリューション

出口

出口

アンドリューとエリックは、smart.fm運営会社「セレゴ・ジャパン」を作り育てた二人、ということでよろしいんですよね。

ええ、そうです。よろしくお願いします。

Andrew

Andrew

今日はどうぞよろしくお願いします。

Eric

Eric

出口

出口

このSmart.fmという新しい英語学習サイトの特徴的なポイントはどんなところですか?

ウェブサービスでもあり、学習サービスでもありというところですが、位置づけとしてはどのようになるのでしょうか。

imagesウェブサービスというより、プラットフォーム展開をしている学習サービスですね。そして、セレゴ・ジャパンについて一言で言うのであれば、ラーニング・テクノロジー会社です。

「人が学習するメカニズムを脳科学・認知心理学の見地から解明し、学習効率を飛躍的に高める」ことをミッションに、2000年に設立しました。創立以来、いかにすれば短期間で何かを覚え、その記憶を長期間に渡って維持できるかというテーマに基づき、脳科学・認知心理学の分野において研究を重ねてきました。

imagesその結果、科学的根拠に基づいた学習方法論を体系化し、「アダプティブ・ラーニング・ソリューション」を確立しました。Smart.fmは、セレゴのアダプティブ・ラーニング・ソリューションを駆使した学習サイトで、現在、一般の皆様から企業、教育機関の皆様にご利用いただいています。

Eric

Eric

出口

出口

アダプティブ・ラーニング・ソリューションとは、具体的に言うとどういうことを提供するものなのですか?

まずは、リッチなマルチメディアを使った「学習コンテンツ」、一人ひとりの習熟度や学び癖をモニターし、最適な学習スケジュールを提供する「学習エンジン」、洗練されたデザイン、かつ操作性の高い「学習アプリケーション」、そして、拡張性高く、多様性ある「プラットフォーム」を活用したサービスです。

Eric

Eric

出口

出口

様々な要素で構成されているのですね。

smart.fmを始めたのはいつ頃からでしょうか?

サービスを始めたのは、2007年の10月になります。

Eric

Eric

出口

出口

もう2年半になるんですね。学習サービスということで、ユーザーの学習傾向についてお話いただけますか?  

imagesSmart.fmに蓄積されている、ユーザーの学習データを分析したところ、ざっくりと速いペース、標準的ペース、そしてゆっくりペースで学習するグループに分類することが出来ました。標準的なペースで学習する場合、1日20分の学習で、合計約18時間もしくは、約2ヶ月で1000アイテムを学習することになります。1000アイテムというと、中学校3年間の義務教育の中で必須でマスターしなければならない900語彙に相当します。

何かを学び、忘れるのは、脳の仕組み上当たり前のことです。でも、そのプロセスを生かせば、効率的かつ効果的な学習が実現するのです。

Eric

Eric

出口

出口

最近、相当増えたわけですよね。

増えましたね。おかげさまで、iTunesのpodcastを出した最初の月に、25万人の新規ユーザーが突然現れてきました。今はだいたい、月々30万から35万人ぐらいの新規登録者がいます。

Eric

Eric

出口

出口

ユーザーが利用するプラットフォームはパソコンがメインですか?

今はやはり英語学習も、いつでもどこでも出来ないと消費者に満足してもらえない時代ではないでしょうか。なので、パソコンだけではなく、iPhone やiPod touch向けのアプリやポッドキャストを提供し、サービスの充実を図っています。

Eric

Eric

出口

出口

サイトの成長というところでの指標を聞かせてください。

難しい質問ですね。日本市場では英語学習を軸にテコ入れをするタイミングですし、海外のマーケットも視野に入れています。成長の指標というのであれば、より多くのユーザーにSmart.fmを利用していただき、継続的に学習が出来る環境をどこまで築き上げていけるかということでしょうか。  

Eric

Eric

出口

出口

今Smart.fmは、パソコン上で学習できるわけですが、それに加えて、iPhone等を使った有料コンテンツも提供しているという状況ですね。

脳科学から生まれた最高のテクノロジー

出口

出口

images先ほどのお話からもわかるように、Smart.fmの記憶システムには、かなり脳科学のテクノロジーが入っていると伺っています。お二人の本『最強の記憶術』(日経BP社)によると、一回単語を学習した後、次にどのタイミングで何回繰り返せば本当にものになるのかは、単語ごと、ユーザーの状況ごとに違ってくる。それをコンピュータが瞬時に計算し、ユーザーにとって最適な時に復習アイテムを出題してくれる、とありました。

この根幹のテクノロジーには驚きましたね。使っている時は決して見えないそのテクノロジーのおかげで、自然に単語を覚えられるようになっている。このようなテクノロジーは今、世界のどこにもないわけですよね。

imagesそうですね、「忘却曲線云々」を謳う会社はいくらでもありますが、我々のようにユーザー一人ひとりが勉強している単語やフレーズごとに記憶定着率を管理し、「このユーザーにはこのアイテムを見せるべき、このユーザーにはあのアイテムを見せる必要はない」と判断したり、忘却曲線をはかりつつ、覚えるスピードと忘れていくスピードを細かいところまで計算できるのは、今のところはセレゴが提供する「アダプティブ・ラーニング・ソリューション」しかないと思います。

Eric

Eric

出口

出口

「忘却曲線を利用」とは、要は脳は覚えても時間とともに忘れていくのだから、タイミングを計って復習を繰り返すことにより、記憶が維持できるということですね。

これはかなり昔から言われていることであって、それに基づいた学習法も多くあります。しかし、単語毎に、ユーザー各人の学び癖に応じて、瞬時にコンピュータが記憶強度を判断してくれるシステムは、今までありませんでしたね。

メカニズム自体は簡単です。通常、「この単語を覚えたい」と思ったら、見て、頭にインプットすることを繰り返し行いますよね。その際、そのアイテムを繰り返し復習すべきかについて、自己判断しなくてはならないわけですが、人間って自己判断することは得意ではないんです。特に大量な情報に対する判断においては正確性に欠けることも否めません。そういう時こそコンピュータの出番なのです。

Eric

Eric

出口

出口

なるほど。

imagesセレゴが提供する学習エンジンは、コンピュータがルールに基づいて、アイテムごとの記憶強度を計算し、人間が忘れる度合いを予想します。当然、時間が経つとともに、予想された記憶強度は下がっていきますよね。それがある一定のラインを下回った時に、もう一度復習させるための出題をします。

その時のユーザーの反応によって、コンピュータが予想した記憶強度よりユーザーの記憶強度が高いか低いか判断できます。当然、個人差がありますから、予想と必ずブレが出てくるのです。そのブレを利用して、システムにそのデータを織り込むことにより、次回の予想がより正確になります。アイテムの一つ一つについて、それを繰り返すのです。

images計算、記録、予想――これらは人間にとって、とても難しいことです。だけど、コンピュータにとっては容易いことです。大量な計算を瞬時に、且つ、正確に行えるのはやはりコンピュータだからであって、人間の脳ではどうしても限界があります。

単純に言えば、このシステムは我々の脳で自然に起きている記憶のプロセスをシステマティックに分析し、最適なスケジュールを提示することで、高い学習効果を実現しているということです。  

Eric

Eric

出口

出口

おっしゃる通り、計算、記録、予想について、人間はコンピュータに絶対勝てません。ならば、コンピュータを利用して、その先のいろいろな発想をすることや、物を考えることに人間は専念した方が、学習効率はより良くなるはずですよね。

smart学習はゲーム感覚

出口

出口

images今、「コンピュータが記憶を管理」とおっしゃいましたけれども、実際やってみたら、「ちょうど忘れかけたな」と思う頃に、上手くそのアイテムが出てくるので、何かやられたなあっていう感覚、答えられたなら「やっつけてやったぞ!」みたいな面白さを感じましたね。コンピュータの計算と、こちらの思いが、お互いにやりあっているような楽しさもあったんですよ。

そうですね。そのような“ゲーム感覚”について言えば、ゲームの面白さとは、自分の実力レベルに合っているかどうかが大きいと思うんです。

例えば、モンスターを退治するゲームならば、開始後すぐに主人公が殺されたら、悔しくて止めてしまいますよね。でも逆に、こちらが化物をあっという間に全部殺せたとしても、つまらないじゃないですか。飽きますよね。そのバランスが大切なんです。頑張ってストラグル(格闘)して、倒されないように化物を倒す、これがゲームの基本じゃないですか。

Smart.fmは、ゲームを狙っているわけではありませんが、知っているかもしれない、頭の片隅にあるのだけど、まだ弱くて引っ張り出せない記憶とのやり取りがゲームに似ています。なので、ユーザーが続けてくれているのだと思います。

Eric

Eric

出口

出口

その喩えはすごく面白いですね。実際やってみたら、こちらが圧倒的に強いわけでもなければ、向こうが圧倒的に強いわけでもない。もうちょっとで倒せるけど倒せない、みたいな感じが確かにありますよね。

単語学習のつもりがオールラウンドの力に

出口

出口

imagesSmart.fmのコンテンツには、単語だけじゃなくて例文が必ずついていますよね。それらにはネイティブの音声がついているし、スペルを書き込む出題もある。単に単語の意味を覚えるだけではなく、例文も一緒に頭に入れることで英作文にも役立つし、音声を聞くことでヒアリングの勉強にもなる。つまり、オールラウンドの英語力をつけるものになっている気がします。

その辺りは狙ってやったのですか?それとも、単に記憶のために作ったのが結果としていろいろなことができるようになったのでしょうか?

images単語だけを覚えても、使い方がわからないようでは困りますよね。選択クイズで意味を覚えてるか確認したり、例文の穴埋め問題に挑戦したり、いろいろなアングルで記憶のレベルを計っているのです。そして、忘れたころに復習クイズをすることで、記憶が強くなるんです。だから、使える知識として記憶に定着をさせるため、そして、英語のスキルアップを図るための学習です。

Andrew

Andrew

出口

出口

特に、覚えたはずの単語のスペルを入力する問題は、やっている方は辛いですね(笑)。かなり集中してやらなければならなくなる。ただ選択肢を選ぶだけの出題とは違って、そういう出題があると、緊張感を持たざるを得ないですよね。

そうですね、記憶強度にもいろいろありますから。ある意味、脳の記憶の強さというのは、筋肉の強さに似ているところがあります。例えばベンチプレス。悠々と上がるのと、苦労して上がるのと、一回だけ上げられるのと、いろいろありますよね。

「昨日は上げられたベンチプレスが、今日は上げられなかった。なぜなら風邪を引いていたから」というのと同じで、人間、その時の一個のデータだけでは、本当の記憶強度はわからないと思うのです。そのため、Smart.fmでは、いろいろな角度からチェックしています。

Eric

Eric

出口

出口

なるほど。

imagesあと、「この5つの中で答えはこれだ」というように、選択肢を選ぶのが上手な人もいます。選択肢問題は、答えを入力する問題、本当の英語力とはまた違いますよね。

なので、いろんな角度から見ています。今日、ある人の記憶強度が強かったとしても、アイテムを昨日覚えた人と、一ヶ月前に覚えたのにまだ記憶強度が強い人とはまた全然違うからです。そういう部分の細かい計算は、やっぱりコンピュータが強いですね。

Eric

Eric

出口

出口

単語を覚えているかいろいろな角度から試すことにより、単語の意味だけでなく、ヒアリング力が伸びたり、あるいは文の構造や用例がわかって英作文に役立ったりと、オールラウンドな英語力が身につくようになる。単に英単語を覚えようと思ってやったのに、それ以上のお土産がいっぱいもらえるんですね。

脳科学から見た効果的な記憶法

出口

出口

Smart.fmの背景には、学習する際、単語一個を完璧に覚えようとするより、とにかく、最初はぼんやりとでもいいから何度も見たり、聞いたり、タイピングをしたりすることで情報を脳にインプットして、それを最適なタイミングで繰り返すのが効果的だという、記憶に関する脳科学の考え方がありますよね。

imagesありますね。

もちろん中には、これをマスターしないと絶対に進みたくないという人もいます。「今日もこれを学習した、昨日もこれを学習した、一昨日もこれを学習した、明日もこれを学習するぜー」という感じで(笑)。でも、脳の中で何が起きているかと言うと、そのような勉強法がもたらすのは、短期記憶の部位でアイテムを印象付けるだけにすぎないのです。

もちろん、記憶のメカニズムから考えると、長期にわたって少しずつ覚えた方がやっぱり長期記憶につながりやすい。だからこそ、みなさんは学習エンジンが提示する最適な学習スケジュールに身を任せて学習を進めればいいわけです。これは、実際に経験するとわかって頂けると思います。

Eric

Eric

出口

出口

英単語をaから順番に必死で覚えて、覚えたページはそれを破って食べていく。僕の学生時代にそういう勉強法が流行ったことがあるのですが、それは科学的に言うとナンセンスだということですよね。完璧に一個一個覚えるより、良いタイミングで繰り返した方が覚えられる

人間、やっぱり自然には逆らわない方がいいですね。薬でも人生でもそうですよね。勉強も同じだと思います。

脳のメカニズムを活用せずに勉強するより、今学習すべきものをその時に学習をするのが望ましいのです。ですから、コンピュータが、「あなたはこれをもう一度見る必要があります」って判断した時に、素直にその情報と接触することが一番良い結果につながると思います。

Eric

Eric

出口

出口

コンピュータとケンカしないということですか。

ケンカしない方が良いですね。

Eric

Eric

出口

出口

images脳科学が発達した結果、いろいろな学習法が言われていますが、コンピュータが全て管理してくれるのは、Smart.fmだけではないでしょうか。自分が覚えたいものを、きちんとコンピュータが管理して、スケジュールまで立ててくれる。

僕は、人間のやる気はあまり信用できないと思っています。例えば講義なんかで、「これは絶対出るから覚えておきなさい、これは凄いぞ」って言ったら、その場ではみんな「あっ、これ覚えよう」と、思ってくれる。ところが、実際に覚えているかといえば、すぐに忘れてしまって、実際には1割の人くらいしか覚えていない。

Smart.fmならば、ある期日までに確実に覚えられるように、スケジュール管理までしてもらえる。生涯にわたってその記憶を管理してくれる部分もあるのですね。いろいろな意味で、本当に画期的な学習サービスだと思います。

あと、例文に対応して必ず画像がありますね。意味にマッチした写真やイラストを一個一個の単語に対して付加していくのは、大変な労力とお金がかかったと思うのですが、この辺のこだわりについて聞かせてください。

統計学に基づいて分析すると、英語での日常会話に出てくる表現の98%は1万語彙と、そのフレーズから成るのです。

コンテンツとしてはそんなに多くないので、例文と例文に合う画像、そしてネイティブの音声を使った、リッチなマルチメディアコンテンツを作ることにしました。

Eric

Eric

考えるのではなく、学べる環境を提供

出口

出口

もう一つ、Smart.fmの面白い特色を挙げると、「誰でも簡単にコンテンツが作れる」ことですね。この発想も既存のものにはなかった。簡単に入力するだけで、自分が覚えたいものをコンテンツにでき、それをオープンして誰でも使用可能にできる。実際の評判はいかがですか?

imagesおかげさまで評判も良いです。我々は、従来の教育会社と考え方が全く違います。セレゴのスタンスは、人が学べる環境を提供することです。我々自身がどんどんコンテンツを作成して、国語を勉強したければこのコンテンツ、英語を勉強したければそのコンテンツ、医学を勉強したければ……云々というかたちになりますと、我々は教育会社になってしまいますよね。そうではなく、セレゴはあくまでもラーニング・テクノロジー会社として、学べる環境を作らなければなりません。なので、ユーザーにもコンテンツ作成ツールを公開しています。

ただし、英語に関しては日本人も、中国人、韓国人も、それこそEUやアフリカの人たちにも必要とされているし、入口はそれぞれの母国語でも、出口は一緒、英語ですよね。我々には、英語学習業界でコンテンツ開発における経験と実力あるネイティブとバイリンガルの日本人がおり、コンテンツのクオリティ管理には自信がありました。

Eric

Eric

images我々の夢は、現在、力を入れている英語学習サービスに限らず、ゆくゆくは多分野へと展開していくことです。また、ライフスタイルに合った学習が行えるようサービスを充実させていきたいと考えています。

そういった観点では、必ずしもコンテンツ作成者が我々である必要性はありません。専門的な分野には、その分野に長けたエキスパートがいます。だからパートナーと組むことを検討することは、視野に入れておかなければなりません

Andrew

Andrew

出口

出口

images英語に限らず、様々なコンテンツのためのプラットフォームになる流れなのでしょうか。僕自身は、例えば国語関係や、歴史・生物などの分野で、Smart.fmのすごい機能を利用した新しいコンテンツを作りたいと考えています。

出口

出口

話は戻りますが、個人ユーザーが作ったコンテンツで、面白いものや変わったものはありますか?

音楽。例えば、A、B、C、Gといった音を聞いて、理解できているかとか。

Eric

Eric

出口

出口

音楽をSmart.fmで?それは、何を記憶するの?

imagesピアノのキーの場所や、ギターのGといった、楽器の音の出るポジションを勉強している方もいます。他にも中国語を勉強している方もいれば、漢字の書き順を勉強している方もいます。英語ならば専門用語のコンテンツなど、いろいろありますね。

Eric

Eric

出口

出口

アンドリュー自身が、一生懸命Smart.fmを使って学習している場面を見たことがよくあります。今アンドリューは何をやってます?

そうですね、分野によって学び方が異なるので、日常生活の中で身近な内容から、学術的な分野に至るまで様々なコンテンツを使ってテストをしています。

例えば、日常生活であれば、図解辞典のように犬の種類と名前や花の名前を学習するというコンテンツは個人的に楽しんで作っています。そして、鳴き声を聞きながら鳥の名前を覚えるコンテンツも作れたりなど、アイデア次第で新しい学び方も見つけることができるんです。

Andrew

Andrew

出口

出口

smart.fmにはいろいろな可能性があるのですね。

世界に広がる利用者層

出口

出口

日本以外の国ではどこでsmart.fmは利用されていますか?

images英語のインターフェースもあり、外国人向けのサービスを提供しています。主にアメリカ、カナダ、オーストラリアとEUからの利用者が目立ちますね。

Eric

Eric

出口

出口

そういう国の方は、何を学習しているのですか?

主に、日本語と中国語です。

Eric

Eric

出口

出口

英語圏の方は、Smart.fmを使って日本語や中国語を学習することができるのですね。

英語ですので、それこそあちこちの国、南米からもユーザーが入ってきています。

多分口コミでしょう。広告も打っていないし、英語を話す人たちに対して何かアピールしたりしていませんから。

Eric

Eric

出口

出口

Smart.fmはいろんな国から国境を越えてユーザーが利用できるサービスなんですね。

はい。

Eric

Eric

出口

出口

imagesということは、英語を学習しながら、同じ環境の中で外国人が日本語を学習しているわけですね。……これは英語学習者にとっては非常に魅力的なことではないかと思います。

第二部 セレゴ・ジャパン誕生秘話

エリックとアンドリューの出会い

出口

出口

いろいろな意味で、セレゴ・ジャパンはこれからどんどん大きくなっていくと思うのですが、お二人はまだお若いですよね。

そんなに若くないですよ(笑)

Eric

Eric

出口

出口

こんなに有望な組織を若い頃からどうやって作り上げたのかについて、関心がありまして。二人が最初に出会ったのはいつ頃ですか。

1990年の4月か5月だったと思います。

Eric

Eric

出口

出口

ちなみに、どこで出会ったんですか?

これを言うと恥ずかしいのですけれども、六本木のバーで会いました。ロアビルの真下のガラス張りのバーです。

Eric

Eric

出口

出口

具体的ですねえ(笑)。

「ワンダーバー1982」というところでしたね。

Eric

Eric

出口

出口

それは、紹介されて?それとも偶然二人とも飲んでいる時に出会ったのですか?

私はエリックの弟のケネスと大学が一緒でした。ケネスがエリックを僕に紹介してくれました。当時大学4年生でしたね。僕はその頃、海外留学予備校をスタートさせていました。

Andrew

Andrew

出口

出口

アンドリューは日本にいつ来たのですか?

最初は86年。

Andrew

Andrew

出口

出口

それは、大学の関係?

images留学で半年くらい滞在しました。そして89年にザ・プリンストン・レビュー・オブ・ジャパン(現アゴス・ジャパン)という海外留学の予備校を起ち上げるために、また日本に戻ってきました。

Andrew

Andrew

出口

出口

エリックはいつ日本に来たのですか?

仕事で言うと90年の1月です。といっても、親父の仕事の関係で日本に初めて来たのは、1974年、8歳の時です。それから高校を卒業するまで8年間住んでいました。

Eric

Eric

出口

出口

英語以上に日本語の環境の中に長いこと居たわけですよね。

ただ、学校の教育はすべて英語でした。義務教育は受けず、漢字も勉強せずに――もうちょっと勉強すればよかったなあと思っているんですけれど。日本は長かったですね。18歳までは、日本8年、アメリカ6年、インドネシア4年。

Eric

Eric

出口

出口

当時アンドリューが、渋谷でアメリカのトップクラスの学校に行くための予備校を経営している時に、エリックと出会ったわけですが、それからどういう経緯でセレゴ・ジャパンになったのでしょう。

アンドリューの頭の中に、記憶に関する新しいものを作ろうという思いが、元々あったわけですか?

imagesザ・プリンストン・レビュー・オブ・ジャパンの生徒は、MBA修得等のためにアメリカの大学に行きます。当然、英語の能力が必要になるのですが、うちの予備校では、英語を教えることはなく、試験対策――TOEFLやGMATの対策をしていました。そのため生徒たちの間で、英会話習得のニーズがかなりありました。

そこで英会話学校と組んだ方が良いと思って、いろいろな学校を見たのですが、結局、見た学校には、生徒こそたくさん抱えていたのですが、英語の能力をアップさせるノウハウがないと感じたのです。うちには、本当にスコアアップさせるためのセクションがあったのですが……。

そのため、英語習得のために何か違う方法――教育のアプローチではなく、科学からのアプローチの方が可能性があるのではないかと考えるようになりました。そんな時に、アップルコンピュータに勤めていた人と出会い、現在セレゴが提供している学習方法のアイディアがひらめいたのです。

つまり、うちのプリンストンの生徒に短期間で英語の能力をアップさせるため、それがきっかけでしたね。

Andrew

Andrew

アメリカから投資を募る

出口

出口

imagesそして、コンピュータを使った新しい記憶システムを作っていこうと、セレゴ・ジャパンという会社を作って、いろいろな学者や技術者を集めたわけですよね。それはアンドリューが何歳ぐらいのときですか。

2000年に会社がスタートしました。

Andrew

Andrew

そう、2000年の3月に設立。

Eric

Eric

30歳くらいでしたね。

Andrew

Andrew

出口

出口

すごいテクノロジーだと思うのですが、それを実際に形にするまでには期間もお金もかかりますよね。しかも、ものになるかどうかは最初はわからないというリスクがある。会社設立の際の資金集めはどのようにされたのですか。

imagesこれがまた、日本とアメリカの違いなんですけれども、アメリカにはリスクキャピタルという投資があるんです。アメリカ人らしいというか、もしかしたらこれは大ヒットするという夢にかける代わりに、全部損してもいいという投資ですね。シリコンバレーという、ベンチャーキャピタルのような組織、そういう投資家たちがいるのです。

そして、本当のプロはファンドを作ったときに、日本のような3億円とか30億円のファンドとかではなく、それこそ3000億円とか、そういう規模で動きますね。よくある話なのですが、2億円以下は面倒臭いからまず投資しない。それ以下だと管理費等に見合わないというメンタリティです。

それこそ、5億円、10億円、30億円くらいの規模で投資するファンドも当時、少なくとも数十社いました。今のこういう不景気で大変な環境の中でも、そういうファンドは十何社かいますね。

images向こうの投資環境についてグーグルの話を例に挙げますと、グーグルは創業時に、まず友達のつてでエンジェル投資家と言われるところから約1億円を集めました。次にベンチャーキャピタルに投資を提案したところ、アイデアとユーザー、そしてロジックを見た上で、約28億円を投資してくれたそうです。しかもそれは完全なる投資です。連帯保証付きのローンじゃないので(笑)、潰れればみんなゼロになります。このような投資環境がアメリカにはありましたので、我々もアメリカから資金を集めることにしました。

Eric

Eric

出口

出口

規模が大きいですね。

一方、日本には英語、語学を学ぶニーズがある。語学を勉強する、ものを記憶する、ということに関してバリューをきちんとつけている。

このような理由から、資金を集めやすいのはアメリカだから、アメリカから資金を持ってこよう。でも、マーケットニーズがあるのは日本だから、日本で実行しましょう」という経営方法を我々は選択したのです。

Eric

Eric

出口

出口

日本では考えられないですよね。

これは我々の強さでもあるし、弱さでもあります。極端に言えば、外国人が設立したラーニング・テクノロジー会社なので、日本ではある意味、馬の骨的な存在かもしれません。信用に関するクエスチョンもあるでしょう。いきなり「我々を信用して企業で導入してください」と言っても、聞く耳を持ってくれないと思います。

そこで、コツコツ商品を磨き上げるとともに、実際にユーザーに使っていただくことにより、マーケットでの評判が少しずつでも上がるよう務めてきました。

images今となればNTTさんから投資していただいたりと、少しずつ柱を中に入れている状況ですね。時間はかかったのですが、我々もこの仕事は好きだし、夢があってこれをやっていますので、やりがいがあります。

Eric

Eric

出口

出口

アメリカンドリームを追いかけているんですね。

エリック&アンドリューと出口汪

出口

出口

どちらかというと、アンドリューには研究者的なイメージを僕の中では持っています。ザ・プリンストン・レビュー・オブ・ジャパンを成功させ、次に新しい記憶システムのアイディアを生み出した。

そのアイディアを持って、今度はエリックがアメリカに行き、先ほどのような投資会社からお金を集めてきて、セレゴ・ジャパンを立ち上げた。という理解でよろしいですか。

アンドリューがすべてAで、私がすべてBというより、今の2つの役割ですと、アンドリューが7割Aの3割B、私は7割Bの3割Aという感じですね。お互いが2つの役割を果たしています。そういう意味では、片方にもし何かがあっても必ず前に進むことが出来ます。組織なので、投資家もいれば社員もいるし、ユーザーもいますので。

Eric

Eric

出口

出口

投資会社が、よく長いこと待ってくれますね。彼らから「利益を早く分配してほしい」というようなプレッシャーがかかることはありませんか?

いろいろな見方があります。一つは、2000年会社を開いた当時のナスダックは5000ドルでした。今のナスダックは、最近見てないですけど、1500ドル。3分の1以下ですよね。ヤフーにしろ、マイクロソフトにしろ、当時より相場がかなり下がっています。でも、セレゴの株は投資した当時よりも高いところにいます。ですから、相場の中で他社と比べると、我々の株はかなり高いと言えます。

あと、2000年辺りに作られた、例えばベンチャー100社のうち95社はもう潰れています。そのうちの残った5つのうち、3つくらいはもう会社として健全な運営が困難な状況になっています。

そういう面でうちはまだ生きていますし、株価も上がっているので、投資家としては、嬉しく思ってくださっている方が多いです。未公開会社なので流動性の面では何とも言えないと思われるでしょうが、「10年前に投資したから、そろそろお金を返してください」と希望する方が出た場合も、新しいバイヤーがそれを買ってくれるので、あまり大きな問題ではないですね。

ただやはり、10年もかかっているので、やっぱりそろそろ皆さんに、一緒に夢を叶えるところを見ていただきたい、という気持ちはあります。

Eric

Eric

出口

出口

今、資金のことに踏み込んでお聞きしたのは、大きな夢に向かっているお二人ですが、考えていることのスケールが非常に大きく、良い意味で、すぐにお金になるような小さなやり方をとっていないというイメージが、僕の中にありましたので。

そうですね。

Eric

Eric

出口

出口

それがまた、セレゴの面白いところなんですが。

僕がお二人に最初に会ったのは10年くらい前だったでしょうか。

2003年あたりだと思います。何月だろう……。

Eric

Eric

出口

出口

よく覚えているなあ。日本の教育の中で新しいことをやっていきたいということで、当時、PDA(携帯情報端末)に搭載されたMiLAという名前の、Smart.fmの前身的なシステムを僕の予備校で実際にやらせてみたんですよね。例文つきの難しい単語を800語位だったかなあ、子供たちに3ヶ月と期間を切って一斉にやらせたら、本当に90何%みんなが覚えたという、驚くような成果を目の当たりにして……。その時から、これは勉強の仕方そのものを変える可能性がある、すごいシステムじゃないかと思ったのです。

ただ、当時はハードに問題がありましたね。PDA自体が高い上に、ソフトウェアが要るので、非常にお金がかかる。しかもすぐにデータがおかしくなる等、PDA自体のトラブルが多くありました。それに対して予備校側は機械の素人だから、クレームが来ても対応できずに……。やがて、PDA端末そのものが市場から無くなってしまったという状況が昔ありました。

はい、ありましたね。

Eric

Eric

出口

出口

それでも、お二人との友人関係はずっと続いていたっていう感じですよね。

第三部 Smart.fmの未来像

大手企業との提携について

出口

出口

お二人と知り合ってから、セレゴ・ジャパンをずっと見てきましたが、ディズニーをはじめとして、いろいろな大手企業との提携話があって、最終的にはNTTとeラーニングについて業務提携をされました。今後、NTTとどういう形で関わっていくかについて、差し支えなければ少し教えてください。

NTTさんと出会うまでは、例えばディズニーをはじめとして、それこそ東証一部に上場しているいろいろな大手企業と話をさせていただいたんですけれども、大手企業って、やっぱり上から目線でしたね。

どうしても独占契約などの要求があれこれ多いんです。なので最終的には全て却下しました。

ディズニーもそうでした。60ページくらいの分厚い契約案を、それこそ10回くらい交わしてファイナル版を作るところまで行きながら、二人で考えて、「これは平等な立場どころか、下っ端の立場なのでやめよう」と。

Eric

Eric

出口

出口

なるほど。

でも、NTTさんは非常にスケールが大きい。eラーニングは教育と技術であるという共通したお互いの認識の上で、彼らは我々が技術で勝負しているというところを尊重してくださっています。我々としても期待に応えなければいけないことが沢山あり、お互いのニーズが合った上で、資本提携を結ばせていただきました。とてもよい形での友好関係だと思います。

これから何をするかについては、具体的なことはお話出来ませんが、今後のセレゴのビジネスモデルと、NTTさんのダイナミックな事業展開において歩調を合わせて取り組んでいきたいと考えています。

Eric

Eric

出口

出口

ディズニーは、本当に世界的企業なので、提携話を直前で断るというのは、非常に判断が難しかったでしょうね。

僕らの夢は、今の学習の現場で抱える問題を科学で解決し、より効率的に、そして効果的に学習できる環境を築くために、このSmart.fmのアルゴリズムを世界中の皆さんに提供することです。具体的に言うと、検索エンジンが登場したことで、情報へのアクセスが容易になったように、教育の場面においても今不可能であることでも、将来は可能になることは沢山あると思います。その一方で、きちんとした教育を受けられるか受けられないかという壁はまだ厚い

Smart.fmならそのハードルを下げることができると思っているのです。

今まで提携の話があった大手企業と組めば、その夢は間違いなく潰れたでしょう。なので、断るという決断はおのずと出た結論でした。

もちろん、提携することにより得られる可能性についても考えました。簡単に出すことの出来る決断ではありませんでしたが、最終決断をした時には理由ははっきりしていました。我々のビジョン、そして今まで投資家に約束してきたことと、方向性が変わり得る提携話だったのです。

Eric

Eric

出口

出口

ビジョンがしっかりとあるからこそ、ですね。

我々の投資家は、1を投資して、1.2が欲しいという訳ではありません。彼らも1を10にしたり100にする夢を持っています。だから、「0になってもいいから100を狙え。1から1.2を狙うのはつまらない話だ。だったらセレゴに渡すより、それこそ債権や国債を買ったり、もっと安全なところに入れるよ」と。

それこそリスクキャピタルですね。セレゴに入れた時点でもう、リスクなんですよ。で、リスクをいっぱい取ってくれたんです。

Eric

Eric

出口

出口

僕がセレゴ・ジャパンのことを好きな理由は、本当に大きな夢を持っていること。単なる空想じゃない、ビジョンを持った夢であり、今の話だと投資家の夢も全部背負っている。ディズニーとか大きな企業に対しても、その夢を売り渡すことはしないということですね。そして、最終的に選んだ提携先はNTTでしたね。

ディズニーは非常にエキサイティングで、ワクワクするような話がいっぱいありましたが、最終的なところで意気投合とはなりませんでした。

NTTさんの場合は、先方の事業展開と我々が開発してきたラーニング・テクノロジーがかみ合い、長期的に様々な形で協業が出来ると考えています。

Eric

Eric

Smart.fmの今後の展開

出口

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今後、水王舎では、Smart.fmに対応した初めての英単語集を出していこうと計画しています。また、僕個人で言えば、Smart.fmを使った論理と記憶、あるいは本とコンピュータの統合というコンセプトに基づいた、新しい勉強法を提案する本を出版しようと思っています。

Smart.fm自体は今後どのような展開をしようとしているのか、教えていただけませんか。

コアであるラーニング・テクノロジーをより多くの方々に使って頂けるようなサービスづくりを目指します。

5月27日に、セレゴ・ジャパンの収益化とサービス拡充を図るため、社長交代を行い新体制にしました。新社長CEOを務めるポール・グリーンバーグは、元MTV Networks Japan合同会社バイスプレジデント/北アジア デジタルメディア事業本部長を務めていた人物です。

セレゴが保有する学習アルゴリズムを価値あるサービスとして消費者、そして、企業、教育機関の皆様に支持していただき、結果として収益となるような構想を立て、実行していきます。これはセレゴにとっての大きなステップと言えますね。

Eric

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出口

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PCでの学習ももちろん効果がありますが、記憶したいこと、しかも例文も音声も画像も付いたものを、いつでも肌身離さず持ち歩けることは、記憶の特性を考えると、僕は大きな魅力だと思います。そういった意味では、今後このサービスのメインがiPhone等のスマートフォンになっていくのではないかと思っているくらいです。

その通りだと思います。スマートフォン自体が、手で持てる、タッチするだけであったり、直感的に操作しやすい画面、多彩なアプリ――いわば手のひらにあるミニコンピュータです。限られた時間内で計算をする場合、大抵のみなさんは、紙と鉛筆とそろばんなら、おそらくそろばんを使いますよね。そろばんと電卓なら、電卓を使うでしょう。そして、電卓とエクセルであれば、難しい計算なら、エクセルスプレッドシートを選ぶでしょう。

このように、時代は戻ったりしません。そして、スマートデバイス、スマートフォンは、これからますます進化を遂げます。それは我々にとっても挑戦の場であり、それぞれが持つプラットフォームの特性を活かした展開をしたいと考えています。

iTunesは、プラットフォームであるし、販売のための土台でもあるし、決済もできる。一度iPhoneのコンテンツを日本で作ったら、その同じコンテンツを、次は韓国でも売ることができる。確かに手数料3割をアプリに渡さなければならないのですが、その代わり、我々が直接各国に入って銀行と話をし、ハード会社と決済云々の手間を省いて、直接iTunesというプラットフォームで売ることができる。このようなスマートテクノロジーの進展は、市場の発展を国境を越えて促しています。

Eric

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やはり時代の変化によって当然ハードも変わってくるだろうし、それに対応してセレゴのプラットフォームも進化するのでしょうね。今お話があったように、Smart.fmのコンテンツはそのままiPadでも、できるんですよね?

できますけれど、やっぱりiPad専用のものを作りたいですね。iPhoneの画面ってこれですよね(実際に見せながら)。iPadはこんな感じなので(手で大きさを示す)、ただ単に拡大するのではなく、iPad利用者向けに合わせたものを作れるのではないかと思うのです。特にiPadは、勉強したい方にとって、とてもパワフルな道具なので、真剣に考えたいと思います。

Eric

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セレゴのテクノロジーが進化するにしたがって、日本人の学習スタイルも変わっていく感じがしますね。

変えていきたいですね、はい。

Eric

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本で勉強からPCで勉強へ、そしてこれからは、PCでの学習から携帯やスマートフォンでの学習へ。覚えなければいけないものはいつも手元にあって、いつも持ち歩ける時代になっていくということですね。

Smart辞書の画期的機能

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最近、辞書機能が新しく付きましたね。ネット辞書はyahoo等のポータルサイトをはじめ多くありますが、Smart.fmの辞書は他の辞書とどう違うんですか?

例えば、ネイティブが監修している点は英語を学習する上で大切なポイントです。また、紙の辞書や他のサイトが使っている辞書に比べ、Smart辞書が優れている点は、リッチなマルチメディアコンテンツが駆使されているからだと思います。コンテンツも都度増えていますし。

Eric

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絶えず変化するということでしょうか。

そうです。そして、わからない単語を調べたときに、正しい使い方を例文でマスターしたり、画像や音声を聞きながら、従来の辞書とは違う学習体験が出来るんです。実際に学習コンテンツをサイトの中で検索するユーザーは多くいましたし、豊富なマルチメディアコンテンツを辞書としても使えるようにしたんです。セレゴにとって、辞書を作るのは初めての挑戦でしたが、ソリューションはすでに整っていたので、アイデアを形にしたということです。

ラーニング・テクノロジー会社としてのこだわりは、単語と意味を調べるだけではなく、例文や音声、画像を活用することで、コンテクストや使い方を理解するのに役立ててもらえる辞書を提供することです。しかも一回調べたものが、検索履歴に登録されるし、それらを学習コンテンツとして登録すれば、学習アプリを使って学習することも出来るんです。

普通、人は何回も同じことを辞書で調べますけれど、うちのシステムは一回調べると、うちの記憶アルゴリズムを使って直接学習もできる。だから無駄がないんです。

Eric

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二つの点で今までの辞書とまったく違うということですね。一つは、ネイティブが監修しているから実践で使える英和・和英辞書であるということ。しかも絶えず新しい情報が入ってきて、辞書そのものが進化していくということですね。

もう一点、一旦自分が調べた単語やフレーズについて、学習することが出来、Smart.fmの中で記憶管理ができること。今までの辞書は調べるだけのものだったのが、これからは、調べたものの記憶管理までできると。

となると、これは生涯にわたって、我々の学習の仕方そのものが変わる可能性があると思うんです。iPadやケータイの中でそれができると、より便利になっていきますね。

我々のシステムは、使い方も考え方も、ユーザーさんのライフスタイルによって変わっていくものなので、一緒に歩めますよね。そういう大きな差があると思います。

Eric

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英語学習市場における成功を目指して

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最後に、Smart.fmのビジョンを聞かせてください。

images先ほどの「自然に逆らうな」というテーマで言わせてください。セレゴのラーニング・テクノロジーは、脳科学・認知心理学における研究に始まり、PDA端末からインターネットへと移行し、プラットフォームを構築するにいたりました。これは、消費者のライフスタイルの多様化に合わせたセレゴの決断でもあります。またそれはニーズに導かれた自然な流れに乗った結果でもあります。

セレゴが新体制になったとも、しかるべき決断ですし、新体制になったセレゴ・ジャパンが、英語市場で根強いブランドとして名前を確立させること大きなビジョンです。私自身は、退任しましたが、セレゴの発展のために影から新社長であるポールを支えていきたいと思います。

Eric

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対談・真剣勝負