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石井貴士「1分間勉強考」

はじめに

出口汪と著名人の対談・真剣勝負、第四弾は「1分間勉強法」でベストセラーの石井貴士氏との対話です。
出口汪との出会いから今後までを全三部構成で公開していきます。

この対談は2011年1月31日に行われたものです。

第一部 ふたりの出会い

いろいろな偶然

出口

出口

石井さんとの出会いから話そうと思うんですけど……。

よろしくお願いします。

石井

石井

出口

出口

僕がうちの会社(水王舎)に行く時、石井さんに偶然ばったり声をかけられたのがきっかけでしたね。

そうですね。僕は受験時代、出口先生の講義を生で聞いていたことがありまして。浪人時代に代々木ゼミナールの一番大きな教室で……。

石井

石井

出口

出口

懐かしい。

imagesそれで、先生のことはよく存じ上げていたのですが、あの日はたまたま、とあるラウンジでお茶をしていたら、お忙しそうに電話をされている先生の姿が見えたので、これは電話が終わった時がチャンスだと思って、そこで「出口先生……」って、声をかけさせていただいたんですよ。

石井

石井

出口

出口

images本当に不思議な出会いですね。(石井さんが受講していた)当時は、基本的に西日本が僕の拠点で、代ゼミでは、代々木校に週1回しか行かなくて。で、1日で4つ講義をやって、うち2つは衛星放送の講義だったから、たくさんある中で生の授業は、たった2つしかなかったんですよ。

確か、午前中だったと思うんですけど……。

石井

石井

出口

出口

そうそう。しかも、生で授業をやっているのは確か2年くらいだけで、その後、東進ハイスクールに移籍してからはもう生ではなく、生徒のいないところで講義をやっている状況なので、東京で生講義を受けてもらえたとは貴重ですね。

imagesはい。その貴重にさらに付け加えますと、僕は高校3年生の時に偏差値が70はありまして、もうどこも合格率が80%以上で、慶應模試でも全国1位をとっていたんですけど、勝負弱くて本番では全部落ちたんですよ。

それで、浪人して代ゼミに行った時に先生にお会いしたのですから、僕がもし勝負強い性格だったら、先生にお会いできていなかったと思います。だから、「浪人して失敗したからこそ」っていうのは、すごくあると思いますね。

石井

石井

出口

出口

なるほど。生で見ていたから、偶然にパッと僕の顔を見てわかったんですね。

そうです。そうじゃなかったら多分わからなかったと思います。

石井

石井

出口

出口

僕も声をかけられた時は、正直言って、あんまり、あの……。

僕のことを知らなかったんですよね?

石井

石井

出口

出口

知らなかった。

ひどいです。(笑)

石井

石井

出口

出口

imagesほら、教え子から声かけられることも多いんで……(苦笑)。

で、たまたまその時、水王舎で英単語の本を出そうとしていて、石井さんに会った後に会社に行って、英単語担当の女性編集者に「こんな人と会ったよ」って言ったら、ちょうど彼女がその本(『1分間英単語1600』中経出版)を一生懸命読んで研究しているところで、「じゃあ、石井さんにちょっと話してみようか」っていうのがはじまりというか。

images本当に偶然が重なって、結果的に水王舎で『1分間世界史』『1分間日本史』と、『1分間高校受験英単語』を出版することになったんですよね。

imagesそうですね。

出会いをさらに振り返ると、僕が文章を書けるようになったのは、出口先生の授業を受けていたからということがありまして。自分が作家としてデビューして、ビジネス書でナンバーワンになるのがずっと夢で、しかも出口先生もビジネス書を出されていたので、自分を教えて頂いた先生や先生以外にもいろいろな作家のかたがたを、若輩者ですけど、僕は勝手にライバル視するわけですよ。で、出口先生に教わって先生を越えたぞ、くらいの勢いでビジネス書売上げ年間ランキング1位を取ったのに、出口先生は僕のことを知らなかったんですね……。

石井

石井

出口

出口

『1分間勉強法(中経出版)』の名前は知っていましたけれど、著者の名前は正直言ってねぇ(苦笑)。

あぁ、顔写真は出していなかったですねぇ(笑)。

石井

石井

「1分間勉強法」誕生のきっかけは受験時代

出口

出口

ところで、『1分間勉強法』に話は移りますが、原点はやはり、受験時代の勉強法ですか?

imagesそうです。『1分間勉強法』は、僕の受験時代がベースです。もともと小学校の時は全然勉強ができなくて、中学に入って勉強を始めたんですけど、その時はもう、とにかく物量作戦というか、「人より努力をすれば成績は上がる」という信念のもとで、何も特別なメソッドも使わなくて。高校受験も結局、第一志望でない進学校にしか受からなくて、そこでも落ちこぼれて「このままじゃダメだ」と。

imagesそうしたら、高校2年の4月に、ある予備校の英語の先生とたまたま出会いまして。その先生が授業の時に「みんな、単語は書いて覚えなきゃと思っているでしょ。書いて覚える人、手を挙げてください」と言うと、全員の手が挙がるわけですよ。「じゃあ、目で見て覚える人?って言ったらひとりも手が挙がらない。「じゃあ、目で見て覚える訓練を3か月以上したことがある人?」って言っても誰も手が挙がらない。英単語は1単語1秒で見て覚えろ! 書いて覚えてはいけない! 1単語1秒を何回も繰り返せ!ということを「みんなやっていないだけ。これをマスターしたら、受験は無敵だから」という話を聞いたのです。

それで、本当に信じてやってみようと思って、1単語1秒で、目で見て覚える訓練を3か月間したら、本当に偏差値が30から70になりました。で、英熟語も同じように覚えて、世界史もやったことがないから、同じようなやり方で、偏差値が3か月くらいで30から70になりまして……という流れです。

石井

石井

出口

出口

その、「目で見て覚える」っていうのと、「手で書いて覚える」のとは、どこに違いがありますか?

例えば「society、社会」と手で書いて覚えると、1単語で6〜10秒時間がかかります。でも、「society、社会」目で見るだけなら1秒です。

石井

石井

出口

出口

なるほど。それは非常に科学的な根拠があると思うので、後でじっくりと話しましょう。

「1分間勉強法」の執筆は突然の辞表から

出口

出口

images次に、受験時代以降ですが、慶應義塾大学に見事合格してから本を書くまでの経緯というか、どうして本を書こうと思ったのか、あるいは出版できたのかについてはどうですか?

images出版までの経緯ですが、大学卒業後にテレビ局にアナウンサーとして5年間勤務していたんですけど、その時に、中学生・高校生向けのラジオ番組を2年半担当していました。

その番組は、「多くの人を勇気づける」というコンセプトだったんですけど、「自分はあまり人を勇気づけるに値しないな。自分はただのサラリーマンのアナウンサーだし」と、ふと思ってしまって……。

で、「どうしたら人を勇気づけるに値するか?」と考えた時に、アナウンサーを辞めて無職からスタートして、ベストセラー作家になったり、会社を経営して社長になったりとか、ビッグになったら人を勇気づけても良いんじゃないかなって思い立って、辞表を提出して、全くゼロからスタートしたんです。

石井

石井

出口

出口

おそらくほとんどのサラリーマンが、本当は会社員じゃなくて、自分のやりたいことを見つけてそれをやりたい、という願望は持っていると思いますが、実際に行動するのはなかなか……。しかも石井さんの場合、テレビ局のアナウンサーっていったら憧れの職業でしょう。でも、それを辞めるっていうのは、ものすごく度胸がいると思いますよ。

そうですね。よく言われるんですけれど、実は入社してすぐに辞めたいって思ったんですよ。でも、「辞めて無職になったらどうしよう」「お金が無くなったらどうしよう」っていう生活の不安があって、やっぱり5年は辞められませんでした。

石井

石井

出口

出口

辞めるにあたって、物書きというか、作家になろうと最初から思って辞めたんですか?

作家になろうとは思っていました。

石井

石井

出口

出口

その時、小説家になりたいとか、「どうしても自分はこういうことを書きたい」と思って辞めるわけですよね?

いや、あの……。

石井

石井

出口

出口

なんとなく漠然と「作家になりたい」と思って辞めてしまったわけですか?

はい。

石井

石井

出口

出口

ああ、これはあまりないケースですね。辞めた次の日からどうしようかっていうことは、なかったですか?

「原稿を書いていろいろな所に送ったら、いつか採用されるんじゃないかとは思っていました。

石井

石井

出口

出口

でも、どんな原稿にするかは、やっぱり自分の中に無いと書けないでしょう?

imagesそうですね。たまたま僕は、自分の成功経験を文章にしたいなと思いまして……。

ただ、成功したといっても、アナウンサーになれたことと、あとは他の会社からも内定をもらっていたことぐらいですが。それで、まずは「就職内定術」みたいな本を書きまして、1年半くらいかけて、13社目でやっと出版が決まったのが最初でしたね。

石井

石井

出口

出口

よく出ましたね……。

はい、よく出ました。まったく実績が無いのに就職の本なんて。

石井

石井

出口

出口

imagesいや、すごい。出版業界で無名の人が、実績も無く本を出版するというのは、よほど内容がよくないと、まずあり得ませんからね。そういえば、海外にもいろいろ行ったことがあるんですよね?

はい。無職になった後に3か月間行きました。

石井

石井

出口

出口

それでいろんな経験をして、充電して、戻ってきてからいろいろ本を書いて……。

そうですね。やっぱり海外に一度は行っておかないと、広い視野を持てなくて書けないんじゃないか、海外のいろいろな価値観を知っておいた方が良いかなと思いまして。で、すぐに海外へ行きました。

石井

石井

夢をあきらめなかったことが「1分間勉強法」出版につながる

出口

出口

そういえば、原稿は持ち込みですか?

imagesはい、持ち込み原稿です。それで当時、自分がメールマガジンを発信していて、読者が1万人か2万人はいたからでしょうね。13社目で決まって出した瞬間にamazonで1位になったんですよ。

で、1位になったことを受けて、いろんな出版社の人に内容を見ていただいて、「これなら石井さん、もっと書けますね」と依頼が殺到して、一つひとつ出しているわけです。

石井

石井

出口

出口

で、『1分間』へと繋がるわけですね。

今までの話を聞いていると、成功のファーストステップはまず、メルマガで多くの読者を獲得できるようにするというわけですか?

いや、そこはもう関係なかったと思います。たまたまそのお陰で、amazonで1位を取れたっていうことはあると思うんですけど、それよりも、無名の段階から諦めないで自分の原稿を本にしてくれる出版社にいっぱい当たって、やってくれる所が見つかったというのが大きいと思います。というのも、僕に出版を依頼してきた編集者の中には、amazonで1位ということを知らずに、僕の本をたまたま手に取って「この人は他のビジネス本も書けるんじゃないか」と思った人もいますから。

石井

石井

出口

出口

「他のビジネス本が書けるんじゃないか」というのは面白いですね。最初から「これは絶対当たる」っていうものがあって、それをなんとか本にしたい、っていうのが普通のパターンだと思うんですが、そうじゃなくて……。

images僕の場合、「何か書いてくださいよ」「書きますか」ですね。

『1分間勉強法』も、もともと特に出したい企画でもなかったんですけど、実は、面白いことがありまして。『1分間勉強法』は中経出版から出しましたが、もともと僕の編集担当だった人が、突然「温泉博士になるから会社辞めます」と言って、全国の温泉巡りをするために会社を辞めてしまって。その後に引き継いだ担当者から「挨拶代わりに1冊やりましょう」って言われて、まずそこからですね。

で、その人から「今、勉強法ものが売れるんで、勉強法の本を書いてほしいんですよ」「受験時代は20年くらい前でしょうけど、たぶん書けると思うんで、勉強法の本を書いてくれませんか?」という依頼があって、じゃあ、昔を思い出して書いてみようかと思ってできたのが、『1分間勉強法』だったんです。

だから、他の、例えば出口先生でしたら、大学を卒業してからもずっと、受験界で活躍されているじゃないですか。でも、僕の場合は受験勉強したことが全く生きていなくて、受験のことをやり始めたのはビジネス書でも2年前くらいで、たまたま、予備校時代の僕の受験メソッドを公開したら、それが大ベストセラーになってしまったんですよ……。

石井

石井

出口

出口

いやあ、非常に珍しいパターンですね。でも、逆に言うと、将来本を書きたい人とか、あるいは、何かしらの夢を持っている人にとってみれば、励まされますね。自分の夢を捨てずに粘り強く本を書いて、いろんな出版社に持ち込んで形にしたわけですから。

はい、そうですね。やはり1回実績ができると、どんどん続いていきますよ。

石井

石井

第二部 「1分間勉強法」の成功を論理的に考える

経験と科学的な根拠に基づいた「1分間勉強法」

出口

出口

images今度は、話が『1分間勉強法』に戻りますが、僕は「論理」をずっとやっていて、『1分間勉強法』とは相矛盾するイメージを持つ人がいるかもしれませんけど、実は僕自身も記憶に関しては予備校時代からずっと考えていて、予備校の講義でよく言ったのが、忘却曲線を示して「時間をかけて完璧に覚えようと思っても、どんなに頭が良くても、必ず人間は忘れてしまう」ということです。大抵の人は、一生懸命に覚えても、ほったらかしにしてしまうんですよね。記憶量を0から100まで持っていくときにものすごい時間とエネルギーを使って覚えても、実際に受験する1年後、2年後には、もう20〜30%しか残っていない。覚えたものは覚えたと思いこんでしまって、二度とやらない人が多いんです。覚えたんじゃなくて、「覚えていた」ということに気がつかないんですよ。

だから、記憶量というのは、現時点で量るんじゃなくて、自分が想定した1年後、2年後にどれくらい覚えているかを設定して、逆算してやっていかなきゃダメだというのが、僕の持論です。

そうですね。その通りです。

石井

石井

出口

出口

人間はどうしても忘れるのだから、そのためにはやはり、1回に時間をかけるよりも、最低4回、5回、6回とうまく間をあけて、良いタイミングで繰り返さないと、記憶できないと思います。

そこで、実際に科学的な根拠に基づいて記憶法をコンピュータに持って行ったのが、セレゴジャパンのアンドリューとエリックたちですが、僕は『1分間勉強法』を読んだときに、石井さんはそれをもっと手軽にやってしまうんじゃないかなとも思ったんですよ。

そうですか。僕は直感頼みなんで、実際にやってみたらそれが正しかった、ということが多いですね。

石井

石井

出口

出口

実際に本が売れたのは、最初は『1分間』というタイトルに惹かれたのかもしれませんが、石井さんがやって成果があったように、読者のかなりの人も実際にやって、成果があがったんでしょう。だから、本当は科学的な根拠に基づいたやり方だと思いますよ。

imagesはい、そうだと思います。僕はいつも、エビングハウスの忘却曲線を利用して説明するんですけど、実験によると、一度覚えたことも20分後には42%1時間後には56%忘れてしまうんですね。

ということは、半分のものを100パーセントに戻すのは簡単でも、それ以上忘れちゃうとやっぱり難しいと思うので、記憶が50パーセント程度残っている時間帯の、20分から1時間後にもう1回復習するのが一番良いので、1単語1秒で見て覚えて、20分から1時間間隔をあけた後にもう1回やるというやり方です。

石井

石井

出口

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なるほど。

この方法がなぜ正しいと思ったかというと、テレビのCMが全く同じ原理でできていて、僕がテレビ局で、CMのナレーションをしていたことがあったからです。テレビCMは15秒で、ラジオCMは20秒ですけど、テレビって15分ごと位に1回CMが入りますよね。人間の短期記憶の限界が20秒なので、15秒とか20秒のCMを15分ごとに入れていくと、嫌でも覚えてしまうという仕組みなんです。

このメソッドがあったので、僕も「20分から1時間後くらいにもう1回刺激を入れること」を思いながら、例えば『1分間高校受験英単語1200』にしても、1単語1秒でいくと1200はちょうど20分ですよね。だから、20分で一通り終わったら、もう一回先頭から戻っていく、というメカニズムにしてあるので、一瞬で覚えられるかなと思いまして。しかも、記憶を定着させるには、1回だと忘れてしまうので、1日に3回はやった方が良いと思っているんですよ。

石井

石井

出口

出口

imagesなるほど。

僕も、自分の経験を頭に置いて話を聞いていましたが、同じですね。僕自身も「論理」を本にしてきましたけど、僕は受験時代に全く勉強しなかったから、最初から「論理」がわかっていたわけじゃなくて、もとになるのは自分の経験ですね。現代文というのが一体どういうものかもわからずに予備校や高校で教えていて、毎回毎回入試問題を解いていくうちに、「あれ?この入試問題を生徒が100%わかったところで、同じ文章、同じ問題は出ないんだから、意味がないんじゃないか?」「となると、共通する読み方・解き方があるんじゃないか?」と考えて、そのうちに自分なりの読み方・解き方が頭の中で徐々に法則化されてきて、こういうふうに教えれば、みんながもっとわかりやすく論理的に読めたり解けたりするんじゃないかと意識するようになったんですよ。

images多くの教員はおそらく、その問題を説明しておしまい。次の問題を説明、っていう進め方だと思うけれど、最初に体験から来て、それをだんだん自分の中で一般化して、これは帰納法的な発想っていうんですけど、石井さんはたぶん、帰納法的な頭の使い方がすごくうまくなったんじゃないかと思いますよ。

はい、そうですね。まず結論があって、それを実体験でできるかどうか試してみるという感じでした。

石井

石井

出口

出口

そう、結論から推測して仮説を立てるというのは、物理学とか科学は全部そうですよ。しかも、あくまで仮説には飛躍があるんですよね。僕にも飛躍があって、自分でも本当にこれで良いんだろうかと思って、仮説に基づいて繰り返し検証を行い、その中で「ああ、これは間違いなく効果がある」とわかってきて。

みんなから「そんなことはありえない」って言われた中でも、仮説を立てて実証し、年間300、400という入試問題を人に説明して、ずっと繰り返しやっていくうち、全部同じ読み方・解き方で解けると実証しました。そして、間違いなく現代文は「論理」で解けると確信して、自分なりに「現代文は『論理』だ」となってきたんですよ。

そうですね。出口先生の講義を受けていた時代は、「現代文は論理」っていうのは本当に新しくて、「現代文は勘で解くものだ」が常識でしたよね。

石井

石井

出口

出口

まあ、本当は勘だけれど、そういう言葉が悪いから、センスだとか、感覚だとか……。

そうです。「現代文はセンスの問題だから、やってもしょうがない」って、学校の先生もみんな言っていた時代ですよね。

石井

石井

出口

出口

imagesそうでしょう。僕の受験時代はずっと、「とにかく書いて覚えろ」「頑張ってこれだけ覚えてこい」で、みんな一生懸命必死で覚えようとしたけど、覚え方については誰も教えてくれなかったですよ。1回目からそんなに必死になって時間をかけて覚えるんじゃなくて、サラッとやって繰り返した方がはるかに効果的だっていうのを、まさに演繹的に、しかも石井さんの優れているのは、それをもっと整理して、誰もが使える形にまできちんとお膳立てした点ですね。まさに、料理を作ったうえで世に出したというのが、『1分間』のすごい所じゃないかと。やはり売れるっていうのは、それを実際にやって覚えられた、あるいは成績が上がった人がいっぱいいたということです。

『1分間』が出て、既に1年以上経っているんですよね?

もう2年半です。

石井

石井

出口

出口

2年半! もし効果がなかったら、もうとっくに消えてしまっているわけだから……。

そうですね、いまだに売れ続けていますよ。

石井

石井

出口

出口

たぶん、最初に『1分間』が売れたときには、タイトルとかいろんな形で当たった所があって、ワ〜っとベストセラーになりましたけど、そこから「1分間シリーズ」は英単語をはじめ、いろいろ出ていますよね。この2年半の間、徐々にみんなが、本当に効果的だっていうことがわかってきて……。

そうですね。塾の先生もブログなどで、「見て覚えるのは効果的だよ」って書き始めているので、やっとかなっていうのはありますね。

石井

石井

出口

出口

それがあって初めて、受験参考書の中でも「今度はこういう1分間の本が出て、また売れている」という状況になっていると思いますよ。

はい、そうですね。

石井

石井

出口

出口

僕がエリックとアンドリューと出会ったのは、もう10年以上前ですけど、科学の世界について教えてもらっていたので、『1分間』のやり方は、間違いなく科学的な根拠があると僕の中では確信を持っていて。それを、パソコンも使わずに本の中で、見事に誰もができる形に持っていったのは、これはもう、石井さんのすごいところだなって思いながら読みました。

imagesありがとうございます。僕は受験時代、参考書や英単語帳とかを片っ端から買っていたんですけど、どうしても自分に合うものがなくて、結局自分で作っていたんですね。それで当時思っていたのは、1単語1秒で覚える英単語帳が世の中に存在しないのは、なぜなんだと。英単語に2個以上の意味が書いてあるのが、本当に嫌で嫌でしょうがなくて。しかも、名詞だったら「名詞」とか(名)というふうに書いてあるんですよ。でも、そんなのはいらないし、目に入れたくもない。例文が書いてあっても、例文っていらないって、ずっと思っていました。

で、例文とかが全部なくて1単語1秒で覚えるものがあったら、自分は買うんだけどなというのと、もうひとつはカラフルな英単語帳が無いかなと。1冊も無かったんですよ、当時は。でも、このふたつを満たした英単語帳があったら売れるなという話があって。

imagesで、それを中経出版に持って行ったんですけど、当然のことながら反対されるわけですよ。英単語帳っていうのは、旺文社が『英単語ターゲット』を出していて、Z会が『速読英単語』を出していて、著者名で売れたのは、青春出版社の森一郎の『出る単』しかないと。しかも、「石井さんは予備校の先生でもないですよね。英語の先生でもないですよね。そんな人の英単語帳が売れるはずないじゃないですか」って言われて。

石井

石井

出口

出口

それが一般的な考えですよね。

imagesその時、ちょうど『1分間勉強法』が13万部くらい出ていて。編集担当の人が、「石井さんが『やる』っていうんで、何とか企画を通しちゃいました」っていう感じで、企画立案から1か月くらいで、僕はその間こもりっきりで英単語をセレクトして『1分間英単語』が出たんですよ。それで、出たら発売1か月で5万部になって、この2年ぐらいは、有名どころの『英単語ターゲット』とか『速読英単語』と同じくらいは出版されている状態で、今、9万1千部ですね。

石井

石井

出口

出口

僕は、『1分間英単語』が売れたのは、石井さんが英語の先生じゃなかったからだと思いますよ。英語の先生だったら、あれは書けない。なぜかと言えば、この英単語にはこういう使い方もある、こんな意味もある、これも大事だ、この例文もどうしても覚えてほしい、この構文のここで使うからこれもいるし、発音やアクセントとか、いろんなものをズバッと捨てきれないでしょう。

ああ、私にはまったくそんなこだわりはなかったです。

石井

石井

出口

出口

imagesそれが逆に、すごくわかりやすくて、使いやすかったと思いますよ。それと、『1分間』の記憶法に関して僕の考え方と同じだと思ったのは、例えば今回、『1分間日本史』『1分間世界史』を水王舎で出してもらいましたけど、僕は「雪ダルマ式勉強法」「俯瞰的な視点」を予備校時代からずっと言っているんですね。どういうことかというと、物を覚える時に全部覚えようと思うとこれは無理だから、雪ダルマの芯だけをしっかりとつかまえなさい。芯がしっかりしていると、勉強していくうちにどんどん雪ダルマが膨れ上がっていって、記憶量が増えてくるんだと。

まさに『1分間勉強法』は、その雪ダルマですね。特に日本史・世界史では、その全部を順番に覚えるのではなくて、まず核になるものを先に覚えてしまえと。

そうですね、はい。

石井

石井

出口

出口

なおかつ、日本史、世界史といった歴史を考えたときに、全体を俯瞰することが大事であって、例えば、原始から順番に一生懸命覚えていると……。

だいたい原始時代で終わっちゃう人が多いですよね。

石井

石井

出口

出口

そうそう。つまらないし、全体がわからない。で、最後までいくと、前の方は全部忘れてしまっているし、時間もかかってしまう。それよりも、まずは原始時代から現代に至るまで、ポイントになる所だけをきちんと押さえて全体を俯瞰する。そして芯をしっかり作っていき、その後に徐々に細かいことを雪ダルマ式に増やしていく。こういう勉強の仕方が良いと思いますし、僕は受験時代に日本史・世界史が一番得意で好きで、そのやり方ですごくうまくいった経験もあって、いつか記憶の本を書きたいと思っていたけれど、先を越されてしまった。(笑)

images日本史・世界史に関して、僕も受験時代「こういう問題集があったら良いのに」っていうのがありました。まず、一問一答の問題集が細かすぎて現代までたどり着かないことと、もうひとつは、問題集が全部白黒で嫌だなっていうことです。それが一気に解決したらいいなという思いから、今回『1分間日本史1200』『1分間世界史1200』ができました。

石井

石井

出口

出口

視覚的にも整理しやすくなっているわけですね。

imagesはい、色については、人名が赤で、出来事・事件が緑で、年号が青で、その他が黄色と、4色のマーカーが、あらかじめキーワードに引かれています。ですので、パラパラっと見たときに、例えばどんな人名がいたかなと思ったら、赤だけが目に入ってきて、それで人名が覚えられるんですよ。

石井

石井

出口

出口

なるほど。僕が受験時代に日本史・世界史でやったことは、教科書をザーッと読んだ後に、例えば「人名」だけを赤で消していきましたね。

あ、僕もそうです。

石井

石井

出口

出口

で、次は「事件名」というふうにしてうまくいったやり方を……。

はい、僕もやりました。

石井

石井

出口

出口

imagesそれを形作ることは、理論的にも本当にピッタリで、うまくいくやり方だと思いますよ。やはり受験生は正直ですから、一般書と違って実際に自分がやって、成績が上がったかどうかですよね。

そうですね。

石井

石井

出口

出口

効果がなかったら「もうあれはダメだ」ってみんなが言って、口コミでダメなものになってしまうし。だからそういう意味では、間違いなく『1分間』をやった生徒の、全員とは思わないけれども、かなりの数がやっぱり効果があったと思って、口コミしていると思うんですよね。

そうですね。おそらく、『1分間』をやってしまったら、もう他の参考書は使えないんじゃないかっていうくらいのわかりやすさだと思いますよ。

石井

石井

出口

出口

今、ふと思ったのは、教師経験が無いから良かった点もあるかもしれない。つまり、完全に受験生側、生徒の立場に立って、自分がこうやれば覚えやすかったという視点でやっているでしょう?

ああ、そうですね。

石井

石井

出口

出口

と同時に、学校の先生には見えないことがあって、「先生の言うことをそのまま鵜呑みにするな」と、授業でも言ったことがあるんですよ。どうしてかといえば、例えば英語の先生の場合、10年、20年と英語ばかりやっていっぱい知っているから、先生は自分の今までの経験をもとに「こうやれ」と言うでしょうし、国語の先生も、数学の先生もそう言うでしょう。でも、学校もある現役の受験生が、10か月という限られた中で、英語も数学も理科も社会もとやると、間違いなく……。

ダメですね。

石井

石井

出口

出口

imagesパンクしてしまうでしょう。あるいは、英語の先生の言う通りにやると、英語はできるかもしれないけど、他の科目ができなくなる。ところが、教える側はそれがわからなくて、どうしても自分の経験をもとに、英語の先生は英語ばかりをやっているわけですよ。

自分が教える教科の成績を上げさせたいって思うのは、当たり前ですけどね。

石井

石井

出口

出口

受験生の視点・立場で言えば、100%はいらないけど6割7割わかれば入試に通るという時、どうやれば短時間で効率よくできるかという点では、教える人間はどうしても弱いですよね。

imagesそうですね。やはり、その教科の成績だけを上げようと思ってしまって、全体の教科を考えた時には、例えば出口先生の現代文は、高校1年、2年でマスターしてしまえば1年たっても忘れないですが、もし、世界史・日本史を高校1年でやってしまったら、受験の時には何も覚えていないということを考えると、国語や小論文・数学を最初にやった方が良いっていう、その時間配分を考えてほしいんですけど。でも、学校の先生にはそれがまったく抜け落ちていると思いますね。

要は、高校3年の1月、2月だけ偏差値70ならば、それ以外は偏差値50でも30でも良いんですよ。その視点が全くないですね。

石井

石井

出口

出口

だから文系で言えば、順番的にまずは国語力、論理力をつけて、それから次に英語。で、最後に暗記、って言ったら変だけれども、社会。順番もそうですし、例えば僕は、この水王舎という出版社を作ったのも、国語、現代文が、単に科目じゃなくて、「論理」であり、あるいは言語処理能力であり……となると、これはすべての教科の土台になるという信念があったんですよ。

いや、本当にその通りです。僕は、自分が3か月で偏差値70になったと言っていますけど、それはやはり、高1、高2の時に出口先生の現代文をやっていて、その下地があったからだと思うんですよ。僕は、先生の現代文を何回も何回も繰り返してやったお陰で、数学とか社会とか他の教科が伸びたイメージが強いです。僕の通っていた高校は進学校ですけど、そこでの出口先生の口コミの評判は、国語の成績が上がるというよりも、これをやると他の教科も上がるよ、まずは出口の現代文からスタートしよう、みたいな感じでしたね。

石井

石井

出口

出口

うーん、嬉しいねぇ。

はい、そんな感じで、僕もまずはそこからスタートしました。

石井

石井

「1分間勉強法」は論理と記憶がうまく噛み合ってできている

出口

出口

さきほど、先生の視点が無かったことが成功要因だと言いましたが、もうひとつ成功した要因は、表記のレトリックがありますね。例えば、『1分間』をボンと出したことや『1分間日本史』『1分間世界史』だったら、「線でなく点で覚えよ」と。これはすごくうまいと思うんですよ。あえて言い切ることで、インパクトがあってなおかつ自分の一番の主張を、ポンとわかりやすくできる。

やはり、僕らプロの教える側からすると、「やっぱり歴史は因果関係を理解しなきゃダメ」っていう批判が来ることを考えてしまって、すごく難しいんですよ。で、これは僕が代弁すると変ですけど、「歴史は因果関係を理解しなきゃダメだ」っていうのはその通りだと思うんです。考えれば当たり前のことですが、例えば「織田信長」がどんな人物かっていうのが全くわかっていなかったら、「織田信長」だけ覚えたって意味が無いわけですし。そういう意味では、「線でまず覚える」ことが前提になっていると思うんですけど……。

そうですね、はい。

石井

石井

出口

出口

ところが、「線じゃなく点でやる」と言い切ったことでうまくいったのはなぜかと言ったら、「みんな、学校で最低限のことは習っていて、ある程度の因果関係は大雑把に理解していることを前提にして、次に全体を俯瞰してピンポイントを点で覚えるというのが、非常に効果的である」とあえて言わずに、「線でなく点で覚えよ」と言い切るところが石井流かなと、僕は思ったんですよ。

あぁ、そうですね。9割9分の先生が「歴史は流れです」っていうじゃないですか。

石井

石井

出口

出口

そうそう。

imagesでも、「流れです」に対して「じゃあ得点になるんですか?」と言ったときに、確かに東大とか論述形式の場合は流れで得点になりますけど、私立大は「知っているか知らないか」の世界なので、流れなんか一切無視で「こんなこと知らないだろう」っていう所が問題に出るので、じゃあ、知っていることを雪ダルマ式に増やしていこうというわけで……。

石井

石井

出口

出口

ただ、その時の前提として、全く歴史の「れ」の字も知らない、織田信長という人間も聞いたことがない人に「点で覚えよ」ということは、さすがに無理でしょう。だから、ある程度は学校で最低限知っていることが前提にあってはじめて、点で覚えることはすごく効果的だと思うんですよ。

imagesそうですね。あと、僕が思っていたのは、世界史・日本史で「織田信長」が出てきた時に、これは人の名前なのか、事件の名前なのかとか……「『信長』って言ったら人だろう」ってわかると思うんですけど、それが例えば「ザビエル」って出てきた時に、ザビエルは人名なのか、宗教の名前なのかっていうのがわからない場合ですね。そこで色分けしてどんどん点で覚えていかないと、記憶が雪ダルマ式にならないっていうのはありましたね。

石井

石井

出口

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imagesそうですね。やはりその背後には、石井さんは意識していないかもしれませんが、頭の中に論理的な、非常に論理的な考えがあると思うんですよ。例えば、全体の中で何がピンポイントかとか、あるいは色分けも、むちゃくちゃに色分けしてもしょうがないので整理してというのは、その背後に論理があって、論理的なものがバックボーンにあって、頭にすっと入ってきますよね

そうですね、はい。

石井

石井

出口

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そういうふうに、論理と記憶がうまく噛み合わさっているので、ご自身の体験でも、結果的に科学的な根拠に十分基づいた良い勉強法になると。これはぜひ水王舎でどんどんやってほしいなと、僕は思ったんですよ。

ありがとうございます。確かに、整理はできていると思いますね。

……今、思い出したことでなぜ人名は赤なのか?」「なぜ緑色が事件なのか?」ですが、これは実際に開いてみるとわかりますが、人名が黄色とか緑だと、気持ちが悪いんですよ。たぶんこの感覚って、受験生時代からあったと思うんですけど、まさにあの4色に色分けしていくと、すっと頭に入るんです。それは何ていうか、論理的な答えじゃないんですけど、たぶん10年後、100年後には、これが正解になっているだろうなっていう感じですし、今から予測できるのは、僕の本をコピーして全部ああいうふうに色分けした「なんとか教科書」みたいなものが出されちゃうんじゃないか、っていう心配もありますね。そしたら、その教科書が絶対採用されると思いますよ。

石井

石井

出口

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今は、ちょっと費用がかかってしまうかもしれないけれど、電子書籍が主流になってくると、すごく簡単にできますよね。

imagesそうですね。この「4色の色分け」というのは、可能性が無限大だと思いますよ。例えば、『1分間英単語』はアプリケーションを出していますが、「見て0秒で意味がわかるもの」を赤「見て3秒くらいで、え〜っと、なんだっけと思い出すもの」見たことはあるけど、わからないもの」「まったく見たことも聞いたこともないもの」、にしているんですけど、そういうふうにすると、試験の直前は赤だけをやり、それ以外の時は緑を赤に昇格させ、さらに時間があったら、黄を緑に、青を黄に、とすると、一番効率良く時間が使えるんですよ。

石井

石井

出口

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忘却曲線に基づいた科学的な方法を、色でうまく使いやすくするというのは、コロンブスの卵じゃないけど、すごく良いアイデアですね。

あとは、4色の優先順位だけを使って、受験勉強をクリアしていけると良いですね。

石井

石井

出口

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それは、受験生にとってもすごく便利だと思いますよ。

imagesはい。……あと、これも記憶のことですが、ほとんどの人は(インクの色が)黒いボールペンを使ったり、黒のシャープペンシルを使ったりして、勉強しますよね。で、僕はこれを青のボールペンにするだけで、すごく記憶力が上がったんですよ。実際に試してみるとわかりますけど、「青色はリンク色」って呼んでいて、ヤフーでも青色の所をクリックして他と繋がりますよね。なので、人は青色で書かれたものを見ると繋げたくなる、脳の記憶に定着させたくなると思って、覚えたいことは青、覚えたくないことは黒、重要な所は赤のボールペンで書くと、一気に勉強ができるようになるんですよ。

石井

石井

出口

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うーん、なるほど。僕は色に関して鈍感で、あまり考えたことがなかったですけど、確かに言われてみると、子供の時からずっと黒で書いているから、黒で書くものは記憶しようと思わないかもしれないですね。

そうです。みんな、黒でノートをとっているから忘れるんです。それを青と赤の2色だけにすると、一気に成績は上がりますよ。

石井

石井

出口

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これは面白い。ぜひ、みんなに試してもらいたいですね。

そうですね。まずは、青のボールペンを使うだけで良いので、ぜひ試していただきたいです。

石井

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第三部 「1分間勉強法」の今後

「1分間勉強法」は他の教科にも応用できる

出口

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images今後の「1分間シリーズ」の傾向ですが、このやり方は、すべての記憶に対して役に立つと思うんですよ。例えば歴史にしても、山川出版の教科書が今、一般書の中で売れているという現象があって、やはり我々社会人が「やっぱり歴史は面白い」「いろんな歴史を知りたい」ってことで、結構ブームですよね。僕も、歴史が好きでいろんな本を読みますけど、「面白かった」っていう漠然とモヤモヤしたイメージや印象はあっても「じゃあ何が?」と言ったら、全部忘れて記憶できていないんですよ。だから、ただ面白いからといって何冊も読んだところで、何も頭に残っていない中で、まずは事件名とか人物名をピンポイントに記憶していこうと。すると、そのピンポイントに記憶しているものがまずあって、その周辺のいろんなものが頭の中によみがえってきて、ピンポイントに記憶したことと記憶したことの因果関係が、次に繋がってくるんですよ。これが普通の人じゃないか、と思うんですね。

そうですね、はい。

石井

石井

出口

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たぶん学者は、きちんと記憶というか、大切なものを記憶しているから、いろいろなことがわかってくるわけで、一般の人が実際に教養として勉強する時でも、やはりどこか意識して記憶しないと、学習したことはほとんど身に付かないと思うんですよ。そういう意味では、『1分間日本史』『1分間世界史』は、受験生だけじゃなくて、一般の人にも読んでほしいと思うんですよ。

imagesそうですね。やはり一般の方でも、このやり方ならもう1回覚え直すこともできますし、「人名は赤なので、赤が頭の中にどんどん入ってきた」というふうになるでしょうね。

石井

石井

出口

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一般の人は皆、日本史・世界史をかつて学校で学んでいるのに、ほうっておくと全部消えてしまうのは、もったいないですよ。そこで、『1分間』でもう1回きちんと覚え直すことによって、自身の生涯のバックボーンにもなると思います。しかも1分間だったら、手軽に短時間で記憶できますし、ゼロから覚えるのは難しくても、ある程度やってきて忘れているものを1分間で覚え直すのは、ものすごく効率が良いと思いますよ。

そうですね。

石井

石井

出口

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そういう意味では、ぜひ一般の人も1回は挑戦してほしいと思いますね。

はい、ぜひやっていただけたらと思います。

石井

石井

出口

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imagesやはり記憶というのは、あらゆるジャンル・分野・あるいは科目に有効ですので、良いものがあれば利用したほうが時間も節約できますよね。

できれば石井さんには、いろんなジャンルにまたがって、このシリーズをさらに完璧なものにしていって欲しいと思います。

ええ。ぜひ、水王舎で出していただければ。

石井

石井

出口

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とりあえず直近で、あくまで石井さんの頭の中で、『1分間』のこんなものをやりたいというものでは、どんなものがあるでしょうか?

imagesそうですね。まあ、いくつかあるんですけど……。まず記憶についてですが、記憶には2種類あると思っていて、ひとつは、さきほど話してきたような単純反復記憶です。これは例えば「お母さん」という単語は、実際にお母さんが出てくるからみんな覚えるんですよね。「dog」という単語を見て、「ドクドクするのはdog」とか連想法で覚えるのではなく、見て一瞬で意味がわかることが必要だという英単語の場合は、単純反復記憶が一番です。たぶん漢字も入るでしょうね。

imagesそれから、もうひとつはイメージ記憶です。イメージ記憶は、覚えるまでに時間がかかりますが、1回覚えたら半年や1年は忘れません。イメージ記憶がどうしても必要になってくるのは、古文単語だと思います。というのも、例えば「ゆかし」が出てきた場合、今の日本人だと「愉快な感じかな?」と思ってしまって、日本語から日本語に変換するのに1回イメージを介さないと、別のものにならないからです。例えば「ことごとし」っていう単語は、僕は「コートごと仕送り大変だ」って覚えたんですけど、「テニスをやっている男の子に両親がテニスコートを仕送りでプレゼントした」みたいなイメージで覚えました。そうなると、「ことごとし」が出てきた瞬間に「テニスコートで大変だ」が思い浮かんで「大変だ」に丸をつける、となるわけです。1回連想記憶をかませて、その連想を1秒で想起させるやり方ですね。

石井

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出口

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imagesそれはすごく面白い。というのは、石井さんがおっしゃったように、英単語は基本的に別の国の言葉だから、知らないものはまったく知らないし、学校で習っているものは、何度も出ているうちにだんだん覚えていきますよね。これに対して古文単語のやっかいなのは、そもそも日本語なので、初めて見る言葉でも……。

そうです。違和感を持たないんですよ。

石井

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出口

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自分の中で勝手なイメージが既にできてしまって、それに引きずられて覚えられないとか、間違った語彙がある場合は、イメージを変えることが必要ですね。

はい。やはり古語と現代語のズレが問題にされるわけですから、そのズレをイメージで変えていくやり方ですね。

石井

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出口

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うん、これはすごく面白い。

他にも、日本史と世界史の年号、これもイメージ記憶ですね。例えば、1543年は「鉄砲伝来、一発ごつん、尻から三発」と覚えました。「1543年」と聞かれた瞬間に「鉄砲伝来」と言えるのは大変ですけど、「1543年」という年号は、問題になりやすくて無機質な情報なので、そこに命を吹き込んで長期記憶に落とし込まなくてはいけないですし、1回覚えて1年後の入試にも使えるようにするためには、イメージ記憶しかないんですよね。

石井

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なるほど。歴史案に関してはぜひ温めてほしいところですが、年号そのものを知っているかよりも、やはり全体を俯瞰することが大事だと思うんですよ。「(西暦)1000年はどんな時代だったのか?」「1100年は?」というように。あと、例えば「日本がこの時に世界はどうだったのか?」というのは、年号でしっかり覚えておかないと理解できないと思うので、時代の節目の事件を決めて、「この時代はこれを理解しておくと、全体の中でどんな時代かがわかる」とか「その時の日本と世界との関係がわかる」とか。そういうものをピックアップして、覚えてもらうとすごく良いと思いますよ。

images『1分間世界史<論述編>』で、テーマ史と、通史と、横の時代を組み合わせたらどうでしょう? 例えば「15世紀はどんな時代でしたか?」などという設定をして、「キーワードを全部入れて、年号も入れたら合格ですよ」っていうものを作って、それを一回理解して覚えた後に「見開き1秒で見ていく」という訓練をすると、論述問題が全部1秒でわかるっていう……。

石井

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受験生にはすごく役に立つと思いますね。

「歴史は流れではなく点で覚えよ」とありましたけど、今度は「点を流れに変えるための『1分間日本史』『1分間世界史』」というのも作りたいですね。

石井

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ああ、それはさっき僕の言った「節目をちゃんと押さえていないと、いくら理解しても何も残らないという考えに、まさにそのやり方はピッタリですね。

そうです。線引きを、テーマ史と、通史と、横の年代別に分けることによって、さらに立体的にというか、二次元が三次元になるんですよ。そうい『1分間日本史』『1分間世界史』の組み合わさったやり方っていうのもありますね。

石井

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出口

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imagesまず線を点にして、答えは点から線に、あるいは空間にしていくみたいな……面白い記憶の仕方ですね。それはやっぱり、背景に論理があるから線が点になるわけだし、この点を線や三次元に持っていくために論理があるわけで、そういう意味では、記憶と論理が本当にうまくマッチしているやり方だと思いますね。

そうですね、はい。あと、地理・倫理・政経といった暗記ものも、「1分間シリーズ」の一番得意な所です。

石井

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それは、今のやり方ですね?

imagesそうです。例えば地理だったら、国の名前が赤になるかもしれないですし、作物の名前が黄色にとか、4色を変えれば良いだけなので、倫理や政経も簡単ですね。あと他には、数学が一番適していると思います。今度は「論理を1秒で思い出す訓練」になるわけです。

石井

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なるほど。

そもそも、なぜ問題が作られるかというと、ポイントを理解しているかどうか確かめるために作られるわけですよ。ということは、「ひとつの問題にポイントは多くて2つしか無い」と思っているので、問題が出たときに「そのポイント何か?」をイメージさせて、さらに答えの導き方を示して、それを1問1秒で見ることができる数学の参考書があったら、買いませんか?

石井

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出口

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うん、それは良いですね。

僕は受験時代、ひとつの単元に200くらいの問題と答えの解法について、1秒で見て思い出す訓練法を自分で自作していたんです。で、試験の前日に1000問から2000問やっていたので、3か月で数学の偏差値が30から70に上がったんですよ。でも、そういう1秒で覚える数学の教科書って無かったですよね。これがもし、書籍としてできるようになれば、中1編、中2編、受験編とか、全単元ができる感じはします。

石井

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出口

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images僕は専門は近代文学ですが、受験時代は国立の医学部を目指して数学もやっていて、やっぱり同じようなことを考えていました。

例えば問題文を見ると、数学ができない人は何も考えず闇雲に計算を始めてしまって、その結果、計算間違いしても気がつかない。でも、論理力のある人は先が予想できるから、問題文を見たら何がポイントか、あるいは方法がAとBとあって、AはやっかいでBの方が近道とか、計算間違いに気がつくとか……。やっぱりこういう力がないと、いくらやってもダメじゃないかと思うんですよ。

そういう時に、問題文だけを見て、1秒で一体何を見落としているか、どんな公式を使おうとしているかがパッとわかれば、全然違ってくると思うんですよね。

はい、そうですね。数学って、みなさん苦手意識を持っていると思うんですけど、1秒でできたら数学ほど楽なものは無いんですよ。

石井

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なるほど。見た瞬間に予測できるし、余裕ができますね。

はい、数学は論理的に思い出しやすいし、復習にも一番適しているので、「1回暗記して理解してしまえばイメージは1秒で」という数学の本が作れたら良いと思いますよ。

石井

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"「1分間勉強法」をやらないと生きていけない"が理想

imagesまたちょっと、話が英語に戻ってしまうんですけど、英文法が苦手な方が多いので『1分間英文法』というのも面白いですし、『1分間発音問題』も良いですね。発音問題は、「ここにアクセントがある」と色別にして、それを1問1秒で見ているだけでアクセント問題は完璧!っていうものですね。

石井

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出口

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images英文法や発音・アクセントは、出る問題が限られていますね。実際にデータを取ればわかるでしょうけど、10年に1回しか出ないような問題を細かくやってもきりがない。また、出たところで受験生もたぶんできないとなると、本当に覚えなければならないものは、すごく絞り込めますね。

そうですね。『1分間発音問題』でしたら、出題された発音記号の8割だけを順番に並べて、1秒で覚えてしまえば良いわけですよ。

石井

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その方が、少ないから早いですね。

imagesええ。そうしたら、これも定番になるかもしれません。あと僕は、1行の英文を1秒で読む方法を開発しました。60行あったら60秒で1分ですよね。だからどんな長文読解も、僕の場合はだいたい1、2分で読んですぐに答えにいけました。他の人より圧倒的に早く読めたんですよ。今の受験は分量勝負なので、『1分間長文読解』があったら皆が買うでしょうね。

石井

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出口

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やはり受験英語の傾向が、僕が受験生の時と今とでは全然違うんですよ。昔は東大・京大でも、文章は短いけどアメリカ人でも理解できないような、難しい単語と構文を訳させるという、わざわざひねったもので、現代文でも一般の人が読まないような、学者風のひねった文章を出してきて。

要は、トップレベルの学校は「思考力」を試す問題が多かったのが、今は無くなってしまって、多くの情報をいかに正確に早く理解できるかという「速読」が中心になっているので、やはり石井さんのやり方は、非常に威力を発揮すると思いますね。

そうですね。英語の長文が、一気に早く読めるようになる本があれば良いのに、って思いますけど、無いですね。これも例えば、構文「it is 〜that〜」だったら、「it is」「that」だけ赤のマーカーで引いておいて、知らない英単語は青にしておく、というふうにすると、最速で英語の長文読解ができるようになります。

石井

石井

出口

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お忙しいでしょうけど、ぜひ何か書いてほしいですね。

imagesはい。僕は「勉強法」に関して、ものすごく極めているという自負がありますので、こういういろいろな企画はあるんですけど、問題文そのものを作ることは、予備校の先生でも学校の先生でもないのでできません。ですので、水王舎で企画をたくさん実現化していただいて、世の受験生が「絶対に1分間シリーズをやらないと生きていけない」という状態にしたいですね。

石井

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出口

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受験生はもう、待っていられないので……。

そうです。早く早く、って感じです。

石井

石井

出口

出口

早くですね(笑)。今後も新しいものを出すうち、またいろいろなアイデアとか、見えてくることがあるでしょうから、石井さんの中からさらに良いものが、どんどん生まれてくる気がします。

はい、ありがとうございます。

石井

石井

出口

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最後に、おまけというのも変ですが、今、石井さんがやっている速読の研修に関して、少し教えていただければ。

imagesそうですね。今、速読が非常にブームになって、本を早く読むことが重要になってきていますけど、やはり、世の中の情報量があまりにも多いので、早く情報処理できたらという方のために、『1分間勉強法』の中で「1冊1分で読む1ミニッツリーディング」と呼んでいるんですけど、その研修をやっています。速読には「眼球運動をしなきゃいけない」とか、「文字を一言一句理解しよう」とかあるんですけど、僕のやり方は全く違っていまして、いわゆる「速く読む」っていうアプローチではなく、潜在意識に関するアプローチです。ほとんどの人は、「1単語1秒で覚えられるはずがない」と思っているからできないだけで、3か月から6か月間トレーニングしたら、できるんですよ。

潜在意識は、21日目で切り替わり始めて、3か月目でだいたい定着して、6か月経つと当たり前になると思っています。ということは、潜在意識にアプローチして「1冊1分でしか読んではならない」という縛りを設けて、1日3冊以上で6か月間やると、本当に1冊1分で読めます。たぶん、先生もやったことがないはずです。

石井

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出口

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ええ、やったことがないですね。

無理だって初めから思っていますよね?

石井

石井

出口

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はい。

でも「1冊1分でしか読んではいけない世界」があったとしたら、その中で処理するしかないですよね。とにかく、潜在意識から「1冊1分が当たり前」と思いこんでやると、できますよ。

石井

石井

出口

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images「できる」っていうのは、やはり人間の潜在能力がすごいということですか?

そうです。ほとんどの方は速読をやったことがないので、「1冊10分だったら」というアプローチだとけっこう生徒が集まるのに、僕が「1冊1分」と言うと、「怪しい」と疑って集まらなかったりするんです。でも、「1冊1分が当たり前」という空間を16人のセミナーでつくっているんですけど、全員「1冊1分が当たり前」と自分で自分を洗脳し続けると、できるようになりますよ。

石井

石井

出口

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「すぐにできるようになる」っていうのがすごい。

そうですね。1冊1分が当たり前だと自分で声に出すようにして、「僕は1冊1分です」と全員の前で言わせるとか、潜在意識そのものを変えていくアプローチのセミナーですので、速読の訓練ではなくて、自分の意識改革で1冊1分になってしまうんですね。

石井

石井

出口

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それがうまくいくのは、石井さんに対する絶対の信頼が受講者の中にあるからで、迷いが生じたらできないですね。

そうですね。「石井は怪しい」と思っている方は来ませんし、信じている方は実際に来て、本当に1冊1分になって帰ってもらいます。

石井

石井

出口

出口

おお、それはすごい。

はい。

石井

石井

出口

出口

今日は本当にありがとうございました。

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